いいチームを作るべく、「マーケティング」の解像度を上げてみた。

経営・ブランディングコラム
赤裸々人事コラム
2024/9/30
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赤裸々人事コラム
2024/9/30

血の通ったチームをつくりたい経営者・人事のみなさまへ。
こんにちは、戦略人事・広報の坂牧です。

先日、同期の大地さんが書いた「働く幸せを忘れ調子に乗っている自分よ、いったい自分がなんなのか改めて考えてみないか」という記事に感動しすぎて、一人で家で読み上げたんですと伝えたら、少し引かれてしまったのが最近のプチトピックス。

さて、戦略人事・広報の私がなぜ「マーケティング」の記事を書くのか。コトの発端は、広報MTGの中で代表誠吾さんがつぶやいた「これからの時代は、マーケというより広報なんじゃないか」という言葉。私は広報チームに所属しながらも、この言葉の意味が正直わからなかったのです。

あ、そもそも私、マーケと広報の違いちゃんとわかってない。と自己認識した私は、マーケティングと広報の違いを学び始めたわけですが、思わぬところに結論がたどりつきました。マーケティングの本質を知るって、イコールいいチームづくりに直結するじゃないかと。そういうわけで、今日も一筆、記事を書いてみようと思います。

マーケティングって、どこのどなたが言い始めた?

言葉って馬鹿にできません。最近、語源を調べる癖がついておりまして、「マーケティング」という言葉の成り立ちと語源を調べてみました。

「マーケティング」=「market(市場)」+「ing(現在進行形)」
直接的に訳すと市場に出し続けるとなりますが、要するに「売れる仕組みを作ること」。

概念自体が登場したのは、19世紀のアメリカ。経済学者フィリップ・コトラー氏が提唱した理論です。19世紀といえば、時代は産業革命後。製造技術が上がったことで、大量生産ができるようになりました。しかし、調子に乗って大量生産しすぎた結果、需要を上回ってしまった。さてどうする?ということで、登場したのがマーケティングという概念だったというわけです。なんだかな〜

ムクムク膨れる、「マーケティング」への違和感

少しばかり芽生えたマーケティングへの違和感を抱きつつ、マーケティングと広報の違いを簡単に整理してみました。

この認識が、一般的なのではないかと思います。

これに対し、ある本の著者は、こう述べていました。

「多くの人は、マーケティングを、企業が消費者に購買の促進を働きかけ、売り上げを上げ、利益を上げるための行為であり、技術と考えている。それは不幸にして実態に近いものであるが、正しい理解ではない。(中略)これまで日本が学んできたマーケティングの多くはアメリカ生まれであり、それは大量生産・大量販売を中心とするもので、どうしても量にこだわり、最後は販売量で評価することになる。」 (by「日本の心がマーケティングを超える」)

お客さんを「数字」と捉え、どう価値を提供できたのか?という質は重視されない冷たく計算高いビジネスの横行。合理性と効率性ばかりが重視され、きれいで残酷になった市場。実態の伴わない、飾りだけの経営理念。

そういうビジネスに大きな違和感を感じるわけです。あまりにも自分よがりすぎないか?と。

採用領域にも蔓延る、無味無臭のマーケティング手法

近年、求人市場はどんどん欧米化しています。

欧米では、プロジェクトごとにチームが組まれ、プロジェクト終了とともに解散するといった「ジョブ型雇用」の働き方が主流。かたや日本は、長年「メンバーシップ型雇用」でした。スキルよりも人物重視・仕事に人を合わせるのではなく、人に仕事を合わせる、終身雇用を前提とした働き方です。
現代の日本は業務やスキルでマッチするジョブ型採用が主流になりつつあり、実際に業務委託的な働き方が増えています。リクルートがindeedを買収したことで、この流れはさらに加速化していくだろうと思います。ジョブ型が悪いわけではなく、どちらにもメリット・デメリットはもちろんありますが、価値観や人間臭い繋がりが希薄になってしまわないかと、いささか危機感を感じるのです。

求職者を「数字」と捉え、人員補充として採用目標を追う人事。
求職者を「ジャッジ」する立場と捉え、選考を進める採用担当者。
応募者を獲得するために、実態と異なる発信をする採用広報。

合理性・効率性に偏向しすぎたマーケティングの問題点を先ほど述べましたが、採用市場にも同じことが言えるのではないかと思います。

日本本来のマーケティングは「おかげさま」

先ほど引用した本の中で、同じく著者はこう述べていました。

「マーケティングの正しい理解とは、メーカーが良い商品を作り、流通業が適切な値段を付け、それを買った消費者が心から満足することである。この信頼の連鎖が正しいマーケティングであり、そこにはお互いの気持ちのつながった温かさがある」。

元々、日本はこの思想を持っていました。

企業は顧客がいるから存在でき、顧客からいただいたお金を使って、さらに顧客に思いを込めて奉仕する。

江戸時代の商人、長崎の貿易商である西川如見は、自らが記した『商人嚢』のなかで、「商売は、モノの良し悪しを適正に評価し、適正な価格で提供し、お客様に満足していただく。利益はその結果である」としました。石田梅岩は「売り先を粗末にせず誠実に接すれば、売り先からの信頼が得られる」と説き、大丸の創業者である下村彦右衛門は、「自分の利よりまず各地のお客さまの満足を優先すること。さらにその土地の人々すべてを大切に思うこと」と説きました。

彼らが持っていたのは、顧客への真摯な心。

真の付加価値とは、モノやコトではなく、マーケティングの過程でお客さまと関わる一人ひとりの立ち振る舞いそのもの。そこには「おかげさま」の感謝の心があったのです。

結局、心があるのかどうか。

マーケティングの目的を、単なる「顧客の創造」ではなく、「お客さんとのご縁つなぎ」と置き換えたとしたら、マーケティングのあり方が変わるのかななんて思ったり。必要なのは売れる仕組みではなく、信頼関係のあるつながりを作ること。「これからの時代は、マーケというより広報なんじゃないか」という言葉の真意が理解できた今日でした。

顧客も、採用も、組織づくりも然り。結局、心があるのかどうか。

先人たちに学び、企業のブランドに、戦略に、採用に、組織づくりに心を入れることができる企業が増えたら、日本はもっとごきげんになるのだと思います。自戒を込めて。

 

▼いいチームをつくりたい経営者・人事の皆様、こちらからご連絡お待ちしております。

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