組織にド正面から向き合い「人間ってやつは」に悩む経営者の皆さん、こんにちは。ダシトレ事業責任者の佐々木です。
毎年4月からライフスポーツであるビーチラグビーのシーズンが始まるので、毎週燦々太陽の下ビーチで汗を流しながら練習しています。現在6月ですが、もちろん肌は真っ黒です。 皆さんは、日焼けで真っ黒の人を見てどう思いますか?「あ、この人遊んでそうだな」って思いませんか?
この反応は「一般化」という人間の自動反応に由来しています。一つの情報が恰もその人の全て、と認知することです。一般化は、脳の進化の過程で生まれたコスパのいい思考法である一方で、過度に起こると特に人間関係の構築において猛毒になる恐れがあります。一度いやな側面が見えただけで、その人全体に対して「嫌い」という負のイメージを持ち続けた経験は誰にでもあると思います。
マネジメント目線で言うと、メンバー自身にこの自動反応をメタ認知させることで育成にかなり効果的な力を発揮することがあります。組織づくりに悩むすべての経営者への処方箋として、本記事を贈ろうと思います。もしかしたら大っ嫌いなあの人も、部分的には許容できるようになるかもしれません。
好き、嫌いの判断は脳の”扁桃体”という部分が司っています。その判断に要する時間は、おおよそ0.02秒、ほとんど条件反射的といえるでしょう。もちろん人間の条件反射にはバグがあります。受け取り手の精神的/心理的状態に依存しますし、外的環境にもかなり影響されます。ですので一部の情報で好き/嫌いを判断するのは、勝手な決めつけがあるかもしれません。
とある地方に、私のことが嫌いになってしまったAさんがいます。Aさんは地域活性のプロジェクト一緒に行い、かなり協力的に動いてくださった、私にとっては恩が深い方です。
プロジェクト中は関係性が良好だと感じておりましたが、急に連絡が取れなくなりました。とても悲しい気持ちになりましたがコンタクトを取るのも難しい状況にあったため、人伝に理由を問いました。
「とある場面の、いち対応が気に入らなかった。だから全部無視しているし、もう絶対一緒に仕事しない。」
とのことでした。前提、こちらのいち対応で先方が不快に感じたのは事実なのでそこは改善していくとして、私はそのお話を聞いた時「それだけで全部ダメって、厳し過ぎやしないか?」と思いました。
確かに一時的に不快な想いをさせたかもしれませんが、なぜそれだけで全部嫌い、全部無視、一生仕事しない、となるのでしょうか。非の打ちどころがない、聖人みたいな方はいるのでしょうか。そこを建設的に話し合い指摘し合い、改善していくことで、真に人間関係が生まれるのではないでしょうか。逆の立場なら「怒らせたのは悪いけど、俺そんなに悪いやつじゃないよ〜、もっと良いところもあるのに厳しすぎるよ〜」と感じるとおもうんです。
このような、一個ダメだっただけで全部ダメ、とすべての物事に当てはめてしまうものの見方を過度の一般化といいます。
なぜ、このような過度の一般化が起こるのでしょうか?
それは、物事に素早く対応でき、躊躇ったり考え込んだりするエネルギーを少なく済ませることができ、脳の生体活動にとって非常にコスパがいいからと言うのが理由になります。脳が消費するカロリーは全身のおおよそ2〜3割と言われており、容積を鑑みると非常に多くのエネルギーを消費していることがわかります。ですので「全部好き/全部嫌い」と反応しごちゃごちゃ考えないといった極端な反応をすることで脳を省エネにするのは、生体活動にとっては非常に合理的なのです。
一方で臨床的には万事のメンタル疾患の根幹にあり、最も治療を困難にしている認知の歪み(=過度の一般化)と言われています。
過度の一般化を発動することで、特定の人にえらい攻撃的になったり、一つのミスで全部ダメ人間だ、といったネガティブな影響を周囲に与えてしまうことがあります。
とりわけ「いつも」「絶対」「すべて」「常に」「全く」「決して」という極端な言葉をよく使う人によく見られるので、一緒に仕事をしているメンバーに該当者がいる場合は「過度の一般化を発動していないか?」と注視してみてください。
過度の一般化は誰にでも起こるものだと言われています。自分自身も例外ではありません。
ここ一つでちょっとしたワークを実施しましょう。あなたが大っ嫌いな人を3人ピックアップして、その共通点を言語化してみてください。
私の場合は「嘘をつく人」という共通点がありました。過度の一般化という言葉に出会うまで、嘘をつく人、またはついていそうな人は全員嫌いでした。発する言葉が全て信用できない(=これも過度の一般化)からです。
次に、その3人それぞれのいいところを4つ挙げてください。
するといかがでしょう。嫌いな要素というのは「その人を構成する1要素」に過ぎないと言うこと、それが全てではないとがわかりやすくメタ認知できると思います。
私があの人を嫌いな理由は、一部分を見て全部嫌いと過度に一般化しているだけの可能性があると言うことです。
瞬時に好き/嫌いを判断するのは扁桃体の性質上条件反射に近いことは先に述べました。ですのでその反応自体をコントロールするのは難しいです。コントロールできるのは「あ、いま過度の一般化を発動している」と条件反射をメタ認知し続けることです。一部を見るだけでそれがあたかも全体であるかのように拡大して解釈する自動反応は、誰にでも起こっているという前提に立ち、メタ認知し続けることで徐々に要素分解してモノゴトを見れるようになっていきます。
私が大っ嫌いだった嘘つきのあの人も、全部嘘ついているわけないし、頭の回転が早くて弁が立ち、コミュニケーション能力が高いといった尊敬できる部分がありました。
人間てやつはいつも「好きか嫌いか」とか「良いか悪いか」とかどっちかにしがちですが、それしか無いわけないないでしょう。良いところもあれば、悪いところもある。嫌いな部分もあれば、好きな部分もあって学ぶべきところもあるわけです。
とりわけ心がネガティブに振れた時、過度の一般化が自動反応で発動しているケースがあり、これのメタ認知が重要であると言うことを先に述べましたが、メンバーに該当者がいて、育成の観点で訓練する場合、どうすればよいのでしょうか。
結論「ズームインズームアウト」という思考の歪みをメタ認知し教訓化できるフレームをお裾分けします。
当事者がネガティブな影響を周囲に及ぼした時、上記のフレームを用いて振り返りを行ってください。自分の思考が如何に歪んでいるかがメタ認知できるようになっています。
インビジョンでも1on1制度で育成の観点で実践しておりますので、具体的な活用方法が気になる方は是非ともお問い合わせください。赤裸々な失敗談と共にお話いたします。
私たちは、世界最古の血筋を今日まで承継する国、100年以上続く老舗企業の数が世界一の国・日本に生まれ、働いています。歴史に学ぶと、いつも日本は「チーム戦」でした。
ところが今日の世の風潮は「チーム/組織<個」。自分のことしか考えていない、忠恕の足りない人が多い現代に、日本の根本的危機を感じずにはいられません。
いいチームをつくるには、原理>方法論。人間界普遍の原理原則をおさえた上で、方法論を学ぶことが大切です。
琴線に触れるものがあれば、是非とも対面でお話を訊かせてください。
▼こちらからご連絡お待ちしております。