いつの間にか組織の基準が下がっていくのはなぜか?

2024/6/19
2024/6/19

インビジョンCCO(最高顧客責任者)石井です。

経営戦略を考えたり、事業計画をつくったり、業務フローやマニュアルの整理を行ったり、銀行さんと話をしたり、時々お客さんの採用コンサルをしたり、ブログやSNSで発信したりしています。最近はSNSで声を掛けていただく機会も増えました。9割営業ですが。イケてるHR系ビジネスアカウントを目指しているのに、誤字脱字が多くてナメられていると分析しています。

全社の目標や業務プロセスを見ていると、色々とモヤモヤ感じることがあります。「ここまではやろうね」と決めたはずの目標が、いつの間にか「現実的には、このくらいできればOKでしょ」と下げられていたり。「みんなでこの手順は守ろうね」と決めた業務マニュアルが、形骸化して手抜きされていたり…

なぜ、いつの間にか基準が下がってしまうんだろう?

そんな疑問に終止符を打つべく、考えたことをコラムにまとめました。同じようなお悩みをお持ちの方にぜひ読んでいただければうれしいです。

 

まあ、このくらいで良しとするか

「こわくてメンバーに仕事を任せられない・・・」
「任せた仕事がいつまで経っても進まない・・・」
「業務改善が進まず生産性が上がらない・・・」
「あがってきた仕事に全然満足できない・・・」

メンバー育成、業務改善、業務推進・・・どうやら今も昔も、世の中の経営者やマネジャーに共通するお悩みのようです。

管理職が困っていること
引用:リクルートマネジメントソリューションズ「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査」
https://www.recruit-ms.co.jp/press/pressrelease/detail/0000000321/

もちろん、メンバーに仕事を任せなければ成長しないし、成長してもらわなければ大きな仕事は任せられません。でも、もし任せて品質が落ちたらお客さんに迷惑が掛けてしまうし、手直しをする手間や費用も余計にかかってしまう。。。厳しく指導すれば●●ハラと言われる時代。採用難のなか、退職されてしまっても困ります。

「まあ、このくらいで良しとするか。」

どこかで折り合いをつけて、根気強くメンバーに向き合っているリーダー・マネジャーの方は多いのではないでしょうか?

山本五十六先生の言葉

山本五十六先生の言葉を励みに、メンバーにやってみせ言って聞かせてさせてみても、そんな想いもむなしく、人は動かじ、組織の基準は下がり続ける…そして、焦りを感じつつ試行錯誤の日々を繰り返す。

これが冒頭のモヤモヤの正体なのではないか?考えました。

 

トップダウンとボトムアップを行ったり来たり

思い返せば、インビジョンでも手を変え品を変え、色々なことをやってきました。「良いチームをつくろう!」経営企画として意気込んで取り組んだものの失敗してしまったいくつもの施策も、今となっては良い思い出?です。

目標自己申告制度の失敗

会社から一方的におろされた目標ではメンバーのモチベーションは上がらない。内発的な動機づけが大事だ!メンバーのやりたいことと会社のやって欲しいことのベクトルを揃えるべきです!

自信満々に導入したものの、メンバーからは

「特にやりたいことはありません」
「この業務は苦手なのでやりたくないです」
「まずはこのくらいの目標でお願いします」

(我々からしてみれば)自分本意な目標しか出てこない。。。結局、”目標調整”という名目で、やってもらわないと困ること、やってもらいたい目標値をおろすことに。

OKR目標制度の運用失敗

もちろん、目標自己申告制度自体がいけないわけではありません。上手く導入している組織もたくさんある。これは我々の運用の問題だ。ということで、次に取り組んだのが、ご存知OKR(Objectives and Key Results)

Googleをはじめとしてイケてる成長企業でも導入されているということで、インビジョンでもチャレンジ。Objectiveとして大きな目標を掲げてもらい、業務改善の推進力としよう!

しかし、出てくるのは(我々からすれば)低い目標ばかり。。。ウチのメンバーは意識が低いのでは?とメンバーのせいにしてしまいそうになるのをグッとこらえてしばらく運用してみました。結果、メンバー間に個人差が生まれ、「なんであの人はあんな低い目標でOKなのか?」という文句が出る始末。。。むしろ現場の業務は混乱。。。

今は、やってもらいたい”成果目標・行動目標”をすり合わせしながら全社→チーム→個人へとゆるやかにおろし、個人の成長を支援する”スピリット目標”をあわせた3つの目標を持ってもらうという運用に落ち着いています。

業務マニュアルが運用に乗らず

目標設定は一段落しても、業務の品質には問題は山積み。以前のコラムでも紹介した、業務マニュアルが更新されない問題。

業務マニュアルは、現場をよく知るメンバー自身が改善するべきである。という、もっともらしい理屈を並べて各チームにマニュアルの運用を任せます。その結果、各自が(良かれと思って)独自の”改善”を繰り返し、全社の業務プロセスは混乱します。

部分最適が蔓延し、全社の品質は下がる一方。だけど、「自分たちはきちんとやっている。できていないのは他のチームに原因がある」と責任の押し付け合いまで起こる始末。。。

結局、全社のマニュアルをトップダウンでまとめていくことに。こちらのプロジェクトは2024年現在、絶賛進行中です。

 

そんな、ボトムアップとトップダウンを繰り返した結果、たどりついた結論。

それは・・・

海を見る代表

会社の基準はトップが決める、ということ。

何てアタリマエの事を壮大な海をバックに書いてるんだ…

と我ながら感じますが、まあ続きを聞いてください。

そもそも会社の目標や計画はどのように決まるのか?

そんなことは組織に所属するメンバーも重々わかっているはず。だから、リーダー・マネジャーは中途半端に妥協せず、自信を持って「ここを目指すんだ!」と言えば良いわけです。

もし、中途半端に妥協してしまうと何が起こるのか?

そこで登場するのが、エントロピーの法則と熱力学第ニ法則。

エントロピー増大の法則

エントロピーの法則は、昔物理の時間に習いましたね。

色々な分野に応用されていますが、ここでは「この世界のあらゆるモノは、秩序→無秩序へと不可逆に移行していく」という法則であるとします。

エントロピーの法則

つまり、組織の基準が完璧に整った状態=エントロピーの低い秩序だった状態。基準が崩れた状態=エントロピーの高いカオスな状態。そう考えたときに、何もしなければ組織の基準は散らかっていくのはこの世界の原理原則であり、必然であるということ。

では、もうひとつの熱力学第二法則について

熱力学第ニ法則

これも、物理?化学?の時間に習いましたね。文系だった自分は、テストの終了とともに一瞬で記憶が散りました。(これもエントロピー増大の法則ですね)

熱力学の第二法則とは、ここでは「熱量は高いところから低いところへと不可逆に移動する」とまとめさせてもらいます。

物理では熱量は℃で測定しますが、組織にも熱量はあります。すると、組織の熱量も高いところから低いところへと移動する。ということはですよ?つまり、、、

組織内に熱量が高い人が少ないと、もしくは全体の熱量が少ないと、どんどん冷めた組織になっていってしまうわけです。

リーダー・マネジャーであるアナタが「まあ、これで良しとしようか。」と基準や熱量を下げてしまえば、それは決して戻ることはなく、組織の基準も熱量も下がり続けます。だからこそ、トップが高い理想と基準を掲げ、熱量高く組織内にエネルギーを注ぎ続けることが大切。

ということなんです。

なんか、エントロピーとか小難しいワードを持ち出しましたが、世の中の原理原則に立ち返って考えると色々な気づきがありますね。

 

2歩先へパスを出し続ける

まあ、言いたいことはわかったけど、

「いや、ウチのメンバーは高い基準を示しても動きません。。。」

という方もいらっしゃるかもしれません。逆に、メンバーの立場から考えると、「社長の理想はわかるけど、、、」と感じてしまう気持ちもありますよね。色々と失敗を重ねてきて感じるのは、それは、「基準の示し方」で解決できると感じます。

「月にロケットを飛ばすぞ!」

とだけ言われて、スグに納得して行動できる人は多くはありません。目標だけではなく、目的や意義も一緒に伝えましょう。やり方を指示するだけではなく、あり方もあわせて示しましょう。メンバーは機械やロボットではなく、人間です。

リーダーやマネジャーも、学校や会社など、どこかの組織のメンバーだった時があるはず。意味のわからない校則に反発を感じたことはありませんか?もしかしたらメンバーも同じ気持ちかもしれません。

組織が定める基準やルールは、「ウチのメンバーには、こんな風であってほしい」という願いでもあります。そのことを意識した上で、基準を落としたり、熱量を下げず、顧客の要望の2歩先、社員の現状の2歩先へパスを出し続けましょう。

インビジョンでは、組織のパス回しをアシストします。最後までお読みいただきありがとうございました。

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