2024年4月1日、インビジョン株式会社は17期をスタートさせた。年度初めは毎年恒例の全社戦略キックオフ。
若干の時間の押しも発生しつつ、終盤を迎えたところで、一人のメンバーが全員の前に。
何を隠そう、インビジョンのCHROである貞光智菜だ。
いきなりエコーの画像で驚いた方もいるかもしれない。
彼女は5月から産休に入る。そんな彼女からメンバーと自分自身に向けたメッセージが読み上げられた。
拝啓
10年前の私へ。
4/1。期待と興奮、そして一抹の不安を抱くあなたに、今日からはじまる未来について、少し先回りして教えてあげる。その通りになるかは、あなた次第。
今日から10年で、あなたは大きく3つのフェーズを体験する。
フェーズ1
濁りはあるが、何色にも染まりそう。生成色時代
まず言っておく。意気揚々と飛び込んだ環境は、期待と少しちがう。超絶パッとしない同期に、お世辞にも尊敬できない先輩。「インサイドアウト」の体現者は、極論代表ただ1人かもしれない。でもそれでいい。はじまりの時は、どの会社もそんな感じ。火種が1つでもあることが価値だ。「入ったら違った」こんな言葉はよく聞くが、「自分に期待しきれない人間が、現状の不満を誰かのせいにしないとやっていけない、そんな時に吐く言葉だ。」賢いあなたはそれを知っている。自ら輪を乱すマネはしないが、心は決してのまれやしない。それがあなたのチャームポイントだ。
フェーズ2
重々しい鉛色時代
ビジョンができると、メンバーが入れ替わりはじめる。この時代を経て残った仲間、増えた仲間は今でもあなたの誇りだ。そんな環境下で、怖いものはなにもない。役職をもらったあなたは気張りに気張る。己の力量を遠く上回る条件を自分にかし、日に日に息継ぎを忘れていく。それが「誰も望んでいないただの自己犠牲」だと気づける知性はまだ未発達だ。リターンの少なさが目については、「理解できない。」が脳内メーカーの8割をしめる。「現状の不満を誰かのせいにしないとやっていけない、そんな時に吐く言葉だ。」棚上げ選手権に出たらNo.1だったろう。そうした状況に、世間もそっぽをむく。ブレイクスルーしかけたインサイドアウト=IPOを緊急停止。翌年やってくるコロナ。売上が激減し借入ができず、助成金で食い繋ぐ時期を、なんとか仲間と耐えしのぐ。
そんな鉛色の時代は、不完全な自分に気づかせてくれる、またとない経験になった。こういうのはお金をいくらつんだって買えない。人生は、クローズアップで見たら悲劇だが、ロングショットで見たら喜劇だ。
フェーズ3
希望に満ちた山吹色時代
心から信用できる同志が増えた時、かけがえのない我が子を授かる。あなたの使命が決定的なものに変わる時期だ。日本にもっとごきげんなチームを増やしたい。エセポジティブでなくって、ほんとのやつを。
空気にのまれるままに生き、自分の頭で考える力がゲソゲソに痩せ細っていく環境があまりに多い。その結果『与えられないことをただ嘆いて、人を嫌って、不幸なのは自分だけ』って思う人生が、この世には多くうまれすぎた。そんなにさみしいことはない。
「働くかっこいい大人」は、仕上がっている大人ではない。目の前の体験が生成りでも、鉛でも、山吹でも、それは自分にしか受け取ることのできない最高のギフトだと、機会をモノにする大人だ。
体験し・振り返り・気づき・変わる、このプロセスを面白がりながら、その度に自分のことばが増える人生はいい。そんな機会が、インビジョンというチームにはゴロゴロ転がっている。それを受け取った人だけが、他人にもそれを分けることができる。10年後のあなたの使命は、共にそのプロセスを楽しんだ仲間たちと世の狂育連鎖を断ち切り、「100年先まで脈々と受け継がれる、企業文化の火種を炎に。」することだ。あなた達の進む道は、間違ってない。
20期「ごきげんなチームづくり東京都代表」
ここに向かう1年目の17期。みなさん頼みます。
産休に入りますが、仕上がって、戻ってきます。
Q毎の表彰の時にメッセージを読み上げる時や、この手紙を読むときに、開始早々涙が溢れてしまうのは、もはやインビジョンにとっては馴染み深い光景。
手紙を読む貞光を見守る小山の慈愛に満ちた表情が、それを物語っている。
ただいまとおかえりが交錯するその時まで、お互いがお互いの場所でやり切っていきましょう。