社長、社員が学ばないのはアナタのせいかもしれません。

2024/5/9
2024/5/9

いきなりケンカ売るようなタイトルですみません。でも、こんなビジネス書ありそうじゃないですか?

「ウチの社員は全然学ばない…。なんでだろう?」

そんなお悩みをお持ちの社長さんに、ぜひお読みいただきたい記事です。この記事を担当させていただきます、インビジョンCCOの石井です。インビジョンではCCO=最高顧客責任者、ということで経営企画~マーケティング~セールス~サポート~システム~財務経理まで見ています。業務の範囲が広いので覚えることが膨大にありますが、まったく苦ではありません。

学生時代から勉強は好きで、それがこうじて勉強法や学習心理学、速読法、記憶術など色々研究しています。最近ではTOEIC、簿記、キャリコンを取りました。今はCFPと中小企業診断士を資格をとるため毎日勉強中です。

ということで、さっそく本文いきましょう。

 

社会人の平均学習時間は1日7分

そもそも、世の中の人たちはどのくらい学んでいるのでしょうか?

基準がなければ何事も分析しようがないので、調べてみました。そこで出てきたのが総務省の「社会生活基本調査」。その中で最初に紹介されているのが、平均して何にどのくらい時間を使っているかを調査したこちらの表。

社会人生活基本調査
引用:総務省ー令和3年社会生活基本調査
https://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/index.html

縦軸が年代になっていて、横軸に生活の中で時間を使っていることが並んでいます。赤く網掛けした部分を見てください。25歳~59歳までの男女が、学習・自己啓発・訓練に使っている時間がわかります。単位は(分)です。

50歳~54歳、55歳~59歳の方々の学習時間は……えっ、、7分?

見間違いではありません。7分なんです。

当時、ネット界隈でもバズっていたので覚えている人もいるのではないでしょうか?

50代にもなれば、会社でそれなりのポジションの方も多いはず。それなのに、20代、30代よりも学習に使っている時間が少ないわけです。ちなみに、25歳~29歳で14分、30歳~34歳で9分。平均的な社会人は、1日10分も学んでいないわけです

だから、御社の社員が学ばないのは不思議なことでもなんでもありません。普通のことなんです。

 

日本人は学びに投資していない

「いくら国のデータだからと言って鵜呑みにはできない…」

そう考える方のために、別のデータをご紹介します。リクルートグループでもあり、世界No.1求人サイトのIndeedによる調査です。このなかに主要先進国と日本のキャリア形成にかける時間について比較があります。

キャリア形成にかける時間
引用:Indeed「転職」に関する5ヵ国(日・米・英・独・韓)比較調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000028842.html

この調査によると、日本人は平均して平日0.7時間=42分、休日0.9時間=約1時間、キャリア形成に時間をかけていることになります。総務省の調査よりもかなり多くなっていますが、他の先進諸国に比べると半分~1/3程度となります。

もう1つ、同じIndeedの調査結果のなかに学習にかける金額というデータもあったのでご紹介します。

キャリアにかける金額
引用:Indeed「転職」に関する5ヵ国(日・米・英・独・韓)比較調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000028842.html

どの年代を見ても半数以上の方が0円と回答しています。もちろん、youtubeなど0円で学ぶ方法もありますが、それを考慮してもかなり少ないですね。

つまり、結論として、

一般的な日本人は、仕事のため自分のキャリア形成のために時間もお金も投資していない。

というお話。

なぜなんでしょうか?

このテーマについて私たちインビジョンは義憤を感じて、会社として様々な取り組みをしています。

狂育連鎖を断ち切り、働く幸せを感じるかっこいい大人を増やす

「義憤」というのは、あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、”道義に外れたこと、不公正なことに対する憤り”のことを意味のこと。会社の価値観の”ど真ん中”となるとても大切な概念です。

そして、私たちインビジョンの義憤は狂育連鎖

本質を見失い、意味も考えずとりあえず”ちゃんとしなさい”という狂った教育。親から子ども、その子どもに連鎖。生きた道徳観、倫理観が徐々に破壊される世界。

こんな狂育連鎖が、もしかしたら学ばない大人を生み出しているのではないか?

義憤

そんな想いから、この狂育連鎖を断ち切るために、

働く幸せを感じるかっこいい大人を増やす

という志を掲げて採用支援や組織づくり、ブランディングのお手伝いをしています。

志

志の実現のためにはひとりひとりが日々学習することが必要不可欠。ということで、インビジョンでもこれまで様々な取り組みをしてきました。

 

人を学ばせることはできない

まず最初に取り組んだのは研修。

業務に関する個別の講義、グループワーク、オンライン・オフライン、などなど…いろいろと試しました。

研修

テーマを変えてみたり、座る位置を変えてみたり、実施する時間を変えてみたり、メンバーに講師を任せたり、事前に資料をチェックしたり。。。

そこまで準備しても、当日に欠席者が出る、時間に遅れてくる、全然理解されていない、、、など上手くいかないことばかり。研修については今でも試行錯誤中です。

次に、社内のノウハウをマニュアル化して誰でも見られる環境をつくろう!

ということで始まったプロジェクト。各チームの代表者が社内のノウハウをスライドにまとめました。

これさえ理解すれば全員が最高のパフォーマンスを発揮できる!

と期待も高かったけれど、忙しい業務のなかで更新されないまま放置された悲しい過去のスライド達が続出…

マニュアル

当然、現在の業務フローと違うため誰も読まれません。どうしたものか、と悩むなかで

最終的には、採用基準じゃないか?そもそも学習する人はもともと学習するんだ。。。

と、過去に何かを学んだ経験がある人、今も何か新しいことを学んでいる人を採用しようと考えたこともありました。でも、それでは自分たちの義憤や志を否定することになります。

結局、たどり着いた結論は…

人を学ばせることはできない

自分から学びたいと思って学習してもらうしかない、ということでした。

 

会社は学校じゃない!じゃあ、どうする?

自分で学習してもらうしかないとは言っても、会社が求める仕事を覚えてもらったり、必要なスキルを身に着けてもらわないと困ります。だからといって会社は学校じゃないわけで。どうしたものか?

ということで、まずは人はなぜ学ばないのか?という問題を4象限で分解してみました。

原理原則として、人が行動するモチベーションには、賞と罰、メリットとデメリットがあると想定します。すると、学ぶことのメリット+学ばないことのデメリットが、学ぶデメリットと学ばないメリットを上回れば、人は学ぶはず。

メリット・デメリット

そう考えると、会社として社員に学ぶメリットを強化して、学ばないデメリットを減らすためには何ができるか?というものが課題として設定できるわけです。そして、自分から学習する人とあまり学習しない人にヒアリングしてみると浮かび上がってきた事実。

学習する人は目指す自分の姿を明確に持っているということ

自分は、将来コンサルになりたいから今これを学ぶんだ。お客さんの課題を一人で提案できるようになるために覚えることがたくさんある。といったように、目標やキャリアがハッキリしているわけですね。だから、社員が学ばないということは、会社が社員に魅力的なキャリアビジョンを示せていない、あるいは、社員のキャリア目標と会社の求めることがマッチしていないことになります。

そしてもう1つ。学習する人は、能動的学習を促す習慣を持っています。習慣になっているから学習を継続することができるわけですね。じゃあ、どんな習慣なのか?ということで設定したものがこちらの7項目。

能動的学習

こんな習慣を持っている人を採用する、またはこの7つの習慣を高めるような研修・働きかけをする、ということが効果的なのではないか?と考えて、採用・育成戦略を練り直しました。

他にも参考となる論点はないか?ということで調べてみると、リクルートワークス研究所から「なぜ人は自主的に学ばないのか、学びに向かわせない組織の考察」という、まさに今向き合っているものと同じ問いに答える調査が見つかりました。さすがリクルートさん。

▼なぜ人は自主的に学ばないのか 学びに向かわせない組織の考察

https://www.works-i.com/research/works-report/2023/learninitiative.html

様々な興味深いデータが紹介されているなかで、個人的におもしろいなと感じたものを1つご紹介。

ワークス研究所

こちらの表は何を表しているのか?詳しく知りたい方は検索して見ていただきたいんですけど、ものすごく簡単に言うと、学びには仕事直結学び(仕事で役立つ学び)キャリア形成学び(自身の成長になる学び)がある。それぞれの学びに影響力高いのが赤文字の項目ととなります。

色々と細かな解説は抜きにして、つまり職場のマネジメントが学びを促したり、阻害しているということ。

制度などの仕組みをつくるだけでは十分ではないんです。上司からのフィードバック、社内の雰囲気など、日々の社内でのコミュニケーションが、学ばない組織風土を醸成してしまっている可能性があると。コワイですね…

 

学びを文化として根づかせる

さて、ここまであ~でもない、こ~でもないと書いてきましたが、そろそろ結論回収の時間です。

自ら能動的に学習してほしい

そんな想いを持っている経営者さんは、新しいものを積極的に学ぶことを大切にする価値観をお持ちのはず。そのために何をすればよいのか?ここまでお読みいただいた方なら、すでにもう何をすべきか具体的なイメージが浮かんでいるかもしれませんが…

学びを文化として根づかせる

この一言に尽きます。

社員が能動的に学ぶ職場づくり、マネジメント、環境整備、制度設計を整える。これは経営者にしかできない大切な仕事です。そして、まずはリーダーである経営者自身が誰よりも貪欲に新しいことも学ぶ姿勢を見せることも重要ですね。

日々勉強ですね

本棚

最後までお読みいただきありがとうございました。

人間界普遍の原理原則を踏まえた組織開発プログラム「ダシトレ」

私たちは、世界最古の血筋を今日まで承継する国、100年以上続く老舗企業の数が世界一の国・日本に生まれ、働いています。歴史に学ぶと、いつも日本は「チーム戦」でした。
ところが今日の世の風潮は「チーム/組織<個」。自分のことしか考えていない、忠恕の足りない人が多い現代に、日本の根本的危機を感じずにはいられません。
いいチームをつくるには、原理>方法論。人間界普遍の原理原則をおさえた上で、方法論を学ぶことが大切です。

琴線に触れるものがあれば、是非とも対面でお話を訊かせてください。

▼こちらからご連絡お待ちしております。

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