2023年10月18日、午後18時45分。私は有明アリーナにいた。
私の愛するCharlie Puthのライブが早く始まらないかと、もどかしい思いをしていた。
しかし、そんな思いと裏腹に「コラム書かなきゃいけないのか…」という思いもあった。
なぜ、大好きなアーティストのライブが始まろうとしている最中にこんなことを考えているのか。
さて、時計を2023年10月18日の午前9時15分に戻してみよう。
私はコラムのRMを確認していた。現在SNSの管理をしているため、どのコラムがいつ上がるか、
どんな内容を誰が書くのかを把握しておく必要があるからだ。
RMをスクロールしていくと、10月26日アップ、担当者Kemiとなっている。
一旦、洗面所で顔を洗った。不安だったから頬も抓ってみた。再度、RMを確認した。
2023年10月26日アップ、担当者Kemi
間違いない、私が書くことになっている。
次の日の19日、お昼に出社する予定があったので、そこで確認してみることにした。
いつもの席に我が上司、武田和真は鎮座していた。
「武田さん、10月26日に自分がコラム書き上げることになっているんですが、間違いないですか?」
「うん、そうだね。」
「オープニング動画のコラムってどんな内容で書いたらいいですか?」
「んー。やっぱりオープニング動画だからさぁ、オープニング動画について書いたほうがいいよね」
私の目の前にいるのは、小泉進次郎か?いや、間違いなく愛すべき上司、武田和真だ。
今日もストリート系ファッションがキマっている。うむ、紛うことなき武田和真だ。
さすがにこのまま引き下がる訳にはいかなかったので、いくつかアドバイスをもらいつつ会社を後にした。
はてさて、このコラムがどんな結末を迎えるのか、ここまで読んでいる方にはもうしばらくお付き合いいただきたい。
考えてみると、私たちの周りにはオープンニングに溢れている。
テレビ番組やYouTuberの動画、コンビニの入店音やアーティストのライブなど、オープンニングは至る所にある。
また、そのどれもが一度聞けば、それが何かを容易に連想することが出来る明瞭さを持ち合わせている。
青年が踊り出し、タモさんが階段を降りてきたら、笑っていいとも!であるし、HIKAKINTV Everyday♪と
聞こえれば、誰もがHIKAKINのYouTubeであることがわかる。
ただ、こと企業のオープンニングはどうであろうか。
CMに使われているオープンニングでも、日本生命保険相互会社の「ニッセイ♪」や小林製薬の「あっ小林製薬」
くらいしか思いつかない。
350万社を超える数の企業が存在するこの日本において、企業のオープンニング動画は、
そこまで少ないのだろうか。
いや、そんなことはない。
実際にはあるのだ。ただ、頭や心に残らず、右から左に受け流されてる状態が蔓延しているのだ。
人々が働いてる風景にそれっぽいBGM、綺麗な声のナレーションの組み合わせといった感じで、まるで金太郎飴。
それゆえに、人々の頭や心に残らず、ハリボテのように置いてあるだけになっているのが企業のオープンニング動画の現状だ。
企業におけるオープンニング動画とは、「その企業のらしさ、雰囲気を短い時間で感じ取ってもらうもの」
と私は位置付けている。
それでは、インビジョンのオープンニング動画を見ていただこう。
私は幾度となくこの動画を見ているため、新鮮さこそ無いが、改めて客観的に見てみると、
・ 賑やかなお祭り
・ 描かれた人たちの多様性と溢れるご機嫌感
・ 浮かぶサメ、レスリング姿にターバン姿、HRの旗とレモンサワーを持っている人
などなどインビジョンのらしさ、おダシ(=インビジョン用語でらしさを意味する言葉)溢れるものとなっている。
なぜ、これでインビジョンのらしさが溢れているかというと、これらが実際にいるメンバーを表しているからである。
サメを偏愛する者、レスリングでアジア2位になった者、ガンジス川を泳いだ者、ただただレモンサワーが好きな者
おダシ溢れる組織は、おダシ溢れる人によって成り立っているのだ。
これぞまさに、インビジョンにしか生み出せない唯一無二のオープニング動画である。
オープンニング動画の持つ効果は前段でも少し述べたが、ここでいくつか列挙してみたい。
・ 短時間で企業の唯一無二感を表現
・ 企業の雰囲気・方向性の提示
・ ビジュアライズ化による驚きの提供
これらの効果により、企業のオープンニング動画を見た人を一気に惹き付けることが出来るだろう。
情報過多の社会で数多くの企業がある中で、他の企業との差別化を図り、且つ自分たちに興味を持ってもらうため
には、やはりオープンニング動画は必要不可欠なものであると考えられる。
前段でオープンニング動画の重要性を説いたが、作り手が気をつけなければならないことは何であろうか。
それは「なんとなく」を無くすことであろう。
なんとなくの自社理解、なんとなくのイケてる動画
なんとなく作ってしまえば、なんとなくしか伝わらない。
徹底的に自社を理解し、そこで見つけたらしさを楽しみながら適切なカタチにすれば、唯一無二の本物が生まれる。
そして、その本物は人々の記憶から消えることは無く、人々のど真ん中に残るはずだ。
企業側にとっては、自社理解度の向上、おダシ溢れることで、より効果的に世の中にアピールしていくことが可能に
なり、自社の想いやビジョンに共感してくれる人と繋がりやすくなる。
求職者にとっては、各企業が際立つことで、企業理解が進み、自分が心から働きたいと思う企業に出会える可能性が高まるであろう。
目線を日本全体まで広げれば、おダシ溢れる企業が増加することで、おダシ溢れる人も増加し、インビジョンの掲げる
「働く幸せを感じるかっこいい大人を増やす」というビジョンを達成し続けられるはずだ。
かつて日本の労働環境を示す言葉として、「Karoshi」(=過労死)がオックスフォード英語辞典に掲載された。
全く不名誉なことだが、日本の労働環境でそういう面が存在することは事実であり、今もなお続く社会問題だ。
ただ、私たち一人ひとりがおダシ溢れる人間になっていき、おダシ溢れる企業が増えていけば、いつの日か「Odashi」という言葉も掲載されるかもしれない。
私たち一人ひとりが出来ることには大小あれど、将来の日本の為に、私たちは日々を懸命に生き、
その日々を無形資産として遺し続け、積み重ねていくことが、その日を迎えるための最善の一手ではないだろうか。
自社らしさがわからないなという方は下記の「おダシ診断」を使い、現状を知ることから始めてみてはいかがだろうか。
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振り返ると、冒頭で触れたCharlie Puthのライブでも、オープンニングからCharlieの登場までの僅かな時間で、
有明アリーナに集った15000人はたった一人の男に惹き付けられた。
ここではライブの詳細について割愛させていただくが、誰の記憶からも消えない瞬間の連続であり、15000人全員がライブを楽しみ、有明アリーナは幸せに溢れていた。
ただ、その15000人の誰よりも楽しんでいる人間がいた。
それはCharlie Puth本人だ。
楽しませる側である彼が、誰よりも楽しむことで、その純粋な想いが15000人に派生していったのだ。
それに習って考えてみると、私たちの掲げる「働く幸せを感じるかっこいい大人を増やす」というビジョンを体現していくためには、まずは、やはり自分たちが率先して体現することが必要であり、その本物の想いは、必ず周囲に広がっていくはずだ。
Charlieが皆を幸せにしたように、私たちも誰かを幸せにしていきたいと強く感じた夜だった。
今回はこの辺でコラムを締めたいと思う。(諸々の関係で公開日がズレてしまったことは何卒ご容赦いただきたい)
Kemi